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「 マダガスカルとルワンダと日本 」
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   大学の学費 無料化を
 強まる動き 国は難色       (2006.8.4更新) 

  「大学の学費を無料に!」という大学の学生、教員らの運動が活発化している。「高等教育の学費の漸進的無償化」をうたった国際人権規約を守れるかどうか、今年が日本政府から国連への回答期限だからだ。文部科学省は「無償化すれば年2~2.5兆円の支出となり、財政難の中、実現は難しい」と留保継続の構えだ。だが、学費は上がる一方。授業料免除を受ける大学生も増えており、教員らは「教育の機会均等のためにも、無償化にかじを切るべきだ」と訴えている。

  「留保」3カ国だけ
 「批准151カ国中、この条項を留保しているのはマダガスカル、ルワンダと日本だけ」「高等教育予算は国内総生産(GDP)比で約0.5%と経済協力開発機構(OECD)諸国平均の半分」
 去年10月に全国の大学教員、学生ら63人が呼びかけて設立した「国際人権A規約第13条の会」の趣意書には、日本の高等教育「後進国」ぶりを示すデータが並ぶ。
 文科省が無償化に難色を示す理由は「家庭の事情などで大学に進学できない人が払う税金で、同年代の人が学歴を得ることになり、公平を欠く」。
 これに対し、同会の共同代表である碓井敏正・京都橘大学教授は「高等教育の成果は本来、学生個人に還元されるものではなく、社会全体の利益にもなる」。日本では保護者が学費を負担するため、学歴が個人の出世の道具となってしまい、社会に貢献する人間を育てる力がかえってそがれている、というのだ。「学生が学費のためのアルバイトに追われ、論文が満足に書けない現状も問題です」
 同会は7月15日午後1時半から、京都市下京区の龍谷大学大宮学舎でシンポジウムを開き、学生らの生の声を集めて、文科省に働きかけた。日本私立大学教組連合も今月、学費負担軽減を求める国会請願署名を集めている。

  家計に重い負担
 大学の学費は上がり続けている。文科省によると、入学金と授業料を合わせた初年度納付金の平均は、1990年度から2005年度にかけ、国立大学法人(旧・国立大)で54万5600円から81万7800円に、私立大学は105万9161円から130万5956円に、大幅に値上がりした。
 政府は奨学金事業の拡充を図っている。奨学金事業総額は有利子、無利子合わせて1998年度の2655億円から2006年度の8000億円になり、貸与人数も50万人から109万人へと倍増し、全学生の3分の1を占める。だが、フランスやイタリアなど諸外国のような給付制ではなく貸与制。結局は、学生が多額の「借金」を背負うことになる。
 授業料の減免を受ける学生も増え、私立大の減免総額は2001年度の75億円が2004年度には112億円と、4年間で1.5倍になった。
 京都私立大学教職員組合は2005年、京都市内の私立大学8校の学生とその保護者3690人に対して家計負担の実態を調査した。それによると、教育費が世帯年収に占める割合は自宅生20.5%、下宿生26.1%。大学への納付金に対する負担感は「大変重い」が44%、「重い」が49%。自由記述欄には「国の人材を育成する教育費の個人負担を減らして。大学は異常なほどお金がかかっている」「高い学費は少子化の原因の一つ」との言葉が並ぶ。

  独・英は「有償化」 
 文科省が留保を続けるもう一つの理由は、これまで大学の学費が原則無償だった欧州諸国で、進学率の上昇などを理由に有償化の動きがあることだ。
 イギリスは1998年から、公立私立を問わず大学生1人あたり年1125ポンド(約23万円)の授業料を徴収。昨年1月、現行の3倍に値上げできる政府案が通った。
 ドイツでは2005年1月、連邦法の学費導入禁止条項は違憲とする判決が出て、州ごとに学費を設定できるようになった。来年から、ほとんどの大学で夏冬の各学期ごとに500ユーロ(約7万3千円)の徴収に踏み切る見込みだ。
 ただし、両国とも学生に根強い反対運動がある。イギリスでは、この夏、大学を卒業する学生が、1人平均1万3500ポンド(約286万円)の教育ローンを抱えていることが問題視され、南ドイツでは6月末にも7000人規模の学費導入反対デモがあった。
 欧州の学費事情に詳しい龍谷大学の佐藤和弘教授は「高等教育を受ける権利は、人権の一つ。ドイツでは、学費導入で、家庭の資本力が子どもの学歴を決めることになると危ぶむ声が強い」という。「日本でも、大学教育を権利としてとらえ直し、学費の無償化を求めるべきです」


 国際人権規約 回答期限に
<国際人権規約と大学学費> 国際人権規約のうち社会権規約(A規約)第13条は「学習権」について定め、「高等教育は無償教育の漸進的導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること」としている。日本は1979年に批准したが、大学の公私間格差などを理由に同項目を留保してきた。国連は2001年に留保を撤回するよう、日本政府に勧告し、最終回答期限を2006年6月末とした。外務省によると、現在、回答を作成中で、国連への提出は半年から1年遅れる見込み。

http://www.asahi.com/kansai/wakuwaku/info0804-4.html
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